—花冷えの土曜日、午後..—
桜の花も見ごろを迎えたものの、まだ肌寒い4月の初めの土曜日、渋谷区神宮前のとあるBarで行われた集い。10数名の紳士淑女が集い、昼酒をちびちび。この会の主役は、スパークリングワインでもなければ、 フォアグでもなく、それは「蓄音機」。
そもそも蓄音機などというもの、今どきの若い人達にとっては歴史上のものでしかないだろう。かくいう わたしも、かろうじてソノシートは知っているが、SPレコードは見たことさえなかった。
この集いは「昼下がりの蓄音機」の会。場所はBar緑。そして主催はオヤビンこと、佐藤隆俊さん。 外見はとてもアーティスティックな素敵なおじ様。神宮前というよりモンマルトルの丘の方が似合う(きっと)。 それもそのはず、本業は写真家さんである。
ちなみに佐藤さん(以下オヤビン)、シブヤ大学のコーディネーター、葉山の海の家でのパーティー主催など とにかくたくさんの顔をお持ちで、マルチタレントな方。そんな方なのでフェイスブックで友達申請させていただくと 一気に共通の友達が増えた(笑)。
—蓄音機とSPレコード—
そのオヤビンが、もっとも力を入れているのが、この「蓄音機」の鑑賞会である。本日のラインナップは、ティノ・ロッシ、エディット・ピアフ、ドリス・ディなどなど、4月生まれのアーチスト特集。 デュークエリントン・オーケストラ、マディー・ウォーターズ、パット・ブーンあたりに来ればなんとなくわかるけど 、ほとんどが’30~50年代の音源。ワンマイク録音によるモノラルのSPレコードである。
それを手回しの蓄音機で、一曲ずつ解説を加えながら、演奏していく。お客さんは、それぞれグラスを手に耳を傾ける。 一曲終わるたび、拍手がおきる。
今日は、もう一方、常連の方が、SPレコードを持参していらしており、こちらは邦楽オンリーのラインナップである。 藤原義江、関谷敏子、羽広歌子などなど。唯一、笠置シズ子だけはわかった。
後半は、邦洋混在のリクエスト大会。ここで驚かされたのが、オヤビンの各曲解説。それぞれの作品にまつわるエピソードを 事細かに解説してくれる。もう、歩くライナーノーツである。
—モチベーション—
どうしてまでここまでこだわれるのだろう….、聞いてみた。
Ahoy!:オヤビンにとってのモチベーションとはなんですか?
オヤビン:「モチベーションですか。そうですね、蓄音機の音の素晴らしさは言葉で説明しても、伝わりづらいなぁと思っていました。それなら、聴いていただくのが一番! 携帯型の蓄音機を持参して披露しようと決めました。
それとともに、約100年前のレコードもあることを伝え、それぞれのSPレコードが録音された歴史や背景を重ねることで『音』を聴く手間の楽しみ方や、現代の消費する音との違いを若い人たちにも感じて欲しいというところが、動機でしょうか?」
外を見ればまだ明るく、道を行きかう人々、店の外の日常はいつもどおりなのが、何とも不思議に感じるタイムスリップ感が 妙に心地よい時間であった。
【5月の予定】
5/3(火)11時、13時、15時@船橋東武百貨店6Fイベントプラザ特設会場
5/4(水)20時~@神宮前「バー緑」
5/7(土)19時30分~@中延「しおん」
5/12(木)20時~@新宿ゴールデン街「SUZUBAR」
5/27(金)19時30分~@四谷荒木町「月ノ音」
5/28(土)14時~「昼下がりの蓄音機」@神宮前「バー緑」
基本的に、
毎月第一、第三水曜日20時~@神宮前「バー緑」
毎月第二木曜日20時~@新宿ゴールデン街「SUZUBAR」
偶数月第二日曜日@高田馬場 ジャズ喫茶「マイルストーン」
不定期開催
四谷荒木町「月ノ音」
「昼下がりの蓄音機」の会、など詳細は、Facebookにて
https://www.facebook.com/oyabinsato/